ASANOT BLOG / アサノタカオの日誌

編集者。本、旅、考える時間。

寄稿

歴史を問い、社会を問い、時代を問う小さな声

K-BOOK 読書ガイド『ちぇっく CHECK』Vol. 6 に寄稿したエッセイを再掲載します。 http://k-book.org/checkcheck/checkvol6/ 韓国の詩が心に住みついたのはいつからだろう? ハングルの読み書きができるわけでもないのに、日本語訳や、ときには英訳にまで遠…

チョン・ハナ K-文学を「詩」で味わう夕べ

『現代詩手帖』2019年8月号に寄稿したエッセイを再掲載します。 http://www.shichosha.co.jp/gendaishitecho/item_2384.html 6月20日、東京・神保町の韓国ブックカフェ・チェッコリで「K-文学を『詩』で味わう夕べ」が開催され、2018年に具常(クサン)文学…

管啓次郎『本は読めないものだから心配するな』

『文藝』2010年春号に寄稿した書評を再掲載します。 http://sayusha.com/catalog/books/longseller/pisbn9784903500591c0090 奄美の島への旅から戻ると、冬の自宅でこの本の読書がまっていた。波と南風、光と夜の鳥の声の鮮烈な記憶の渦巻く頭で、文字を追う…

君のものではない、世界の声に耳をすませろ 宮内勝典の文学

西子智さん編集のZine『ライフ 本とわたし』(2017年10月)に寄稿したエッセイを再掲載します。 https://life-hontowatashi.tumblr.com/ 右に行くべきか、左に行くべきか。前に進むべきか、後ろに退くべきか。人生の岐路に立たされた時、自分のなかをどれだ…

歴史に抗する野生の移民文学

『すばる』2010年11月に寄稿した書評(松井太郎著、西成彦・細川周平編『うつろ舟 ブラジル日本人作家・松井太郎小説選』)を再掲載します。 1917年生まれ、日本語で書く現役最長老級の小説家による初の作品集だ。ただし著者は「日本」文学の伝統に属す…

寡黙な「読者」忘れない

2016年12月24日付「毎日新聞」大阪版に寄稿したエッセイを再掲載します。 さまざまな縁がつながって、私が瀬戸内の島に移住したのは、今から4年前のことだ。関東で編集者として仕事をしながら、出版業界が東京に一極集中して、地方の声を伝えられない現状に…

本当の自由とは何か

『山と渓谷』2016年10月号に寄稿した書評「今月の一冊・『ヘンリー・ソロー 野生の学舎』今福龍太著」を再掲載します。 森に吹く「自由」の風が、不思議な親しさをもって、読書に集中する額をなでていく。本を介して野の道を逍遥する者の心に、ハックルベリ…

神戸新聞を読んで 4

2016年6月に神戸新聞にて、週1回の紙面批評の連載(4回)を担当しました。ブログに再掲載します。第4回、最終回です。 誰かと一対一で対面する時に自分の顔を見ることはできない。手掛かりは目の前にいる相手の表情しかない。その顔に笑みが浮かんでいるか、…

神戸新聞を読んで 3

2016年6月に神戸新聞にて、週1回の紙面批評の連載(4回)を担当しました。ブログに再掲載します。第3回です。 8月に開幕を迎えるリオデジャネイロ五輪。スポーツ面を中心にブラジル関連の記事が目立ってきた。 本紙がその名を冠する神戸という町は、190…

神戸新聞を読んで 2

2016年6月に神戸新聞にて、週1回の紙面批評の連載(4回)を担当しました。ブログに再掲載します。第2回です。 昨年、縁があって香川県の仲間とともに「瀬戸内人」という出版社を設立した。瀬戸内や四国に根ざし、地域の歴史や文化、民俗に学びながら、海辺の…

神戸新聞を読んで 1

2016年6月に神戸新聞にて、週1回の紙面批評の連載(4回)を担当しました。ブログに再掲載します。 5月27日、アメリカのオバマ大統領が現職として初めて被爆地・広島を訪問し、核兵器廃絶を訴える演説を行った。その一方で同じ5月、北朝鮮では第7回朝鮮…