ASANOT BLOG / アサノタカオの日誌

編集者。本、旅、考える時間。

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

単独性にたった連帯をうながす「物語」とは 星野智幸の小説『焔』

http://www.shinchosha.co.jp/book/437204/ 星野智幸の小説『焔』を読了。2018年1月末の刊行。ちらちらと目にする口コミや予感から、読んだらハマって抜け出せなくなるのではないかと恐れて今日まで禁欲してきたのだが、近所のK書店でついに手を出してしま…

岡村淳のドキュメンタリー『リオ フクシマ 2』と山尾三省の詩

ブラジルの記録映像作家、岡村淳さんの最新作『リオ フクシマ 2』の上映会に参加した。期待をはるかに上回る、素晴らしい作品だった。そして予想に反して、鑑賞後にこれほど静かな気持ちになれる作品だと思わなかった。 映像作品から受け取ったメッセージを…

赦しのドキュメンタリー 岡村淳『ばら ばら の ゆめ』

http://www.minatonohito.jp/products/137_01.html 昨晩(2018年2月18日)、西荻窪のAPARECIDAでブラジルの記録映像作家、岡村淳さんのライブ上映会に参加し、ドキュメンタリー作品『ばら ばら の ゆめ』を鑑賞した。今も胸騒ぎがしている。ファースト・イ…

君のものではない、世界の声に耳をすませろ 宮内勝典の文学

西子智さん編集のZine『ライフ 本とわたし』(2017年10月)に寄稿したエッセイを再掲載します。 https://life-hontowatashi.tumblr.com/ 右に行くべきか、左に行くべきか。前に進むべきか、後ろに退くべきか。人生の岐路に立たされた時、自分のなかをどれだ…

温又柔の小説『真ん中の子どもたち』ほか

『たった一つの、私のものではない名前』 いまから10年ほど前のことだ。あるブックフェアに出展者として参加した際、私と背中合わせのブースに座っていたのが、「葉っぱの坑夫」の大黒和恵さんだった。葉っぱの坑夫は非営利のウェブ・パブリッシャー。ウェブ…